2017.01.20

訪日観光客 憧れの場 自然な心で「何か」感じる

日本経済新聞

水面と借景の木々の緑、白い建物のコントラストも美しく、館内外を回遊するうちに、自然と心が洗われる。そんな場所が、隠れ観光スポットとして人気を集めている。禅文化を海外に広めた、世界的仏教哲学者・鈴木大拙の考え方・生き方を具現化した「鈴木大拙館」(金沢市)だ。

風の音、水のさざ波を感じられる「思索空間と水鏡の庭」(鈴木大拙館提供)

2015年度の年間来館者数は前年度の約1.8倍とうなぎ登り。外国人入館者も、10月時点で既に昨年度1年分の外国人数を上回るペースで増えており、「今年度はほぼ6人に1人が外国人観光客」(金沢文化振興財団鈴木大拙館の今井恵美さん)という。

電通マクロミルインサイトが滞在中の訪日観光客にきいた「金沢・観光資源調査」でも、同館は「金沢城公園」「兼六園」に続いて、3番目の人気スポット。訪日観光客憧れの場となっている。

世界的なZENブームも追い風だろう。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」の美術館・博物館部門での受賞や、写真共有サイトのインスタグラムなどで美しい建築の写真が広がるなど、ネットの影響も大きいと今井さんは見る。

ところが、鈴木大拙館には仰々しい展示物や説明文はない。「単にモノを鑑賞する場とせず、自由かつ自然な心で大拙と出会うことで得た、感動や心の変化を感じとり、自分と向き合うことを重視している」からだ。心地いい自然と静謐(せいひつ)な空間、大拙のメッセージや書など、訪れる人の心を動かす「何か」がある。それを見て、聞いて、感じる趣向が魅力だ。

「自然との一体感を感じてみる」「いただきますと言ってみる」。街中でも訪問先でも「日本人と同じコトをしてみたい」と訪日観光客はいう。ちょっとした心動く「何か」、日本人のメンタルに触れる瞬間こそ、どこにもない日本体験になる。そんな「なりきってみる体験」が求められている。

(電通マクロミルインサイト・人と生活研究所 和田久美)

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